12/29
第2ステージ :シャトールー→ナルボンヌ
リエゾン : 82 km + SS : 6 km + リエゾン : 510 km - Total : 598 km
 
 眠い、ブーツなども濡れている。昨夜は日中と違って雨に降られ、今日も雨。パリ
ダカで最初の第1SS(タイムトライアル)になる。雨が降っているので、6kmと短いサー
キットコースは泥だらけになっている。私は林道を得意としているが、こういうコー
スはモトクロスをやっている人が速い。無理せず、順位より完走を目標にゆっくり走
る。SS後、マシンが泥でひどいので洗車してから、南フランスのナルボンヌへ向かう。
510km先で遠い。日本人ライダーの広瀬さん、鈴木さん、堀田さん、私と一緒に走る。
ウェアが濡れて、寒くて辛い。高速道路では四輪が速い。車体に貼り付けたスポンサー
のマークがカッコいい。いつか四輪に転向しようかと思う。四輪選手は平均年齢40
〜50歳、二輪ほど体力を使わないからだろう。
 だんだん雨がやみ太陽が顔を出すと、南フランスらしい風景が広がる。フランスは
北海道のように広い。途中CP(チェックポイント)が2つあり、コーヒー、パン等が
用意されている。リエゾン(移動区間)では遅れているため急ぐ。ナルボンヌに到着
すると、もちろん大勢観衆がいて、賑やかなネオンでクリスマスのような雰囲気だっ
た。そのまま、パルク・フェルメ(車両保管)内にマシンを駐車。ここで整備しては
いけないことを知らなかった。パルク・フェルメに入る前に整備しないといけないの
だ。チャレンジ75の車が見当たらない。マシンは問題がないが、明日は整備しないと
…。
 この間、堀田君からホテル名を教えてもらったが、案内所に行って簡単な英語で教
えてくれるが分らない。地元の人に聞くと車でホテルまで案内してくれた。午後11時
到着。ホテルは教会の近くで歴史があるような建物だが、部屋のガラスが壊れている。
気分が悪いので部屋を替えてもらった。約1時間後、堀田君が来る。「ここ、わかっ
たの?」と聞かれる。夜食はマクドナルド。食後、シャワーを浴びて寝る。今日の成
績はモト部門167人中総合88位。日本人モト部門6人中4位。


6kmと短いサーキットコースは泥だらけ
でした。


12/30
第3ステージ :ナルボンヌ→マドリッド
リエゾン : 25 km + SS : 35 km + リエゾン : 870 km - Total : 930 km

 目が覚めたとき、のどが痛い。レース中、風邪をひくと、リタイヤの可能性が高く
なる! やばいと思った。今日は第2SS終了後、マドリッドまでチャレンジ75の車で
バイクを積んで行く。ゆっくり休養したい。
 朝食を抜いて、慌ててタクシーでパルク・フェルメへ向かう。パトリックと堀田君
が話し合った後、堀田君が筆談で「チャレンジ75の車はマドリッドまでバイクを運ぶ
が、人間は運んでくれない」と教えてくれる。
 人間の事は考えてくれないのか! 電車で行こうか考えるが言葉にハンディがある
ので辛い。スタート順は昨日のSS成績の逆になる。自分の成績表リストを確認して、
主催者に手ぶりで合図してもらいスタートした。ガソリンが少ないので入れなければ
ならない。ガソリンスタンドを見つけると、満タンではなく約10リットル入れる。そ
の方が軽くてライディングが楽になるから。リエゾン25km走行後、35kmの第2SS。有
名なシャトー・ラスツールのぶとう畑の中のオフロードコースだ。乾いた路面に、バ
ラバラとした石が多く、コーナーも走りづらい。バイクが転倒すると、ダメージが大
きいので、抑えて走行した。SSが終わった後、マドリッドまで870kmの長い移動にな
る。バイクはチャレンジ75の車に積んで行く。私と堀田君はモーターサイクルジャー
ナリストの柏さんの車に乗せてもらう。感謝。ガソリンの匂いで辛かったが、後席の
荷台で寝る。マドリッドに行く途中でCP(チェックポイント)がある。
 タイムカードにスタンプを押さないと、ペナルティ(罰則)が課せられる。CP付近
の所にチャレンジ75の車と合流し、バイクを下ろしてCPへ。スタンプ押印後、チャレ
ンジ75の車にまたバイクを積む。一緒に行くはずの広瀬さんが見あたらず、待ってい
たがやむなく午後8時30分に出発する。
 夜中1時過ぎマドリッドに到着。広瀬さんはここまでバイクで走行してきた。遅れ
た理由は事故とのこと、体とバイクは無事だった。私が予約してたホテルはパルク・
フェルメから遠かったため、柏さんに近くのホテルを探してもらった。夜中3時就寝。
今日の成績は総合118位、日本人6人中4位。


35kmの第2SS。乾いた路面に、バ ラ
バラとした石が多く、バイクが転倒す
ると、ダメージが大きいので、抑えて
走行した。


12/31
第4ステージ: マドリッド→ラバト
リエゾン : 5 km + SS : 6 km + リエゾン : 950 km - Total : 961 km

 まだのどが痛むし、頭も少し痛い。ゆっくり寝たかった。マドリッド郊外で第3SS。
ひどい雨のせいでコース整備をしたため、スタート時間が遅れる。6kmと短いが、か
なり滑りやすく、アクセル操作を丁寧にしても1回転倒してしまった。無事にSS終了。
バイクと雨具ウェアすべてが泥と友達だ! 水がないので洗えない。気分が悪い。
 昨日、トラブルがあった為、バイクと人はチャレンジ75の車に一緒に乗る事になっ
た。スペインの南端のアルジェシラスまで行く。ゴーグル、グローブは濡れている。
ひとつしかないので車の中の暖房を利用して乾かす作戦。日本から持って来た風邪薬
を飲み、早く治るよう仮眠した。夕方6時頃、アルジェシラス到着。暖かい! タイム
カードは雨具のポケットの中に入っているが、雨具をどこに置いたのか不明。タイム
カードを紛失した場合、タイムペナルティ15分を課せられる。乗せてもらった車の中
の他人のバッグまで探して見つける。この近くにはガソリンスタンドがない。私のバ
イクだけ泥が付いて汚い。他のバイクはピカピカなので少し恥ずかしくなる。
 主催者とのやりとりは電子手帳を利用する。モロッコはガソリンスタンドがあるは
ずと言う。競技車をフェリーに乗せ、モロッコに渡る。フェリーの中でビザを見ると
自分の名前しか読めない。担当者に書いて貰う。それから両替して、泥が付いたヘル
メットとプロテクター等、洗って仮眠した。あっという間にアフリカ大陸・モロッコ
に到着する。
 モロッコの首都ラバトまで200km。町は古くてホコリっぽい感じ。横風が強くて、
走りにくい。途中ガソリンスタンドでバイクを洗車しさっぱりする。夜中2〜3時頃、
ラバトに到着、第4ステージ終了。最初の目標であるヨーロッパステージを無事終了
する事が出来た。これからのビバークはテントになる。ヨーロッパステージのホテル
より、テントの方が好きだ。自分の家のようだ! テントサイトはモト用スペアタイ
ヤ、手荷物輸送の飛行機の周辺になる。
 明日はいよいよアフリカステージで本格的なコースになる。
 今日の成績は総合86位、 日本人で2位。


ヨーロッパステージを無事終了し、競
技車をフェリーに乗せ、モロッコに渡
る。


1/1
第5ステージ: ラバト→エル・ラッシディア
リエゾン : 10 km + SS : 80 km + リエゾン : 444 km - Total : 534 km

 アフリカステージのスタート順は前日のSS順位になる。10時スタートなので準備し
ていたが、スタート会場は主催者はいるが選手がいない! おかしいと思っていたら、
モロッコ時間はヨーロッパより時差で1時間遅いのだ。こちらはアフリカらしく暑い。
前日までの風邪が嘘の様に治りホッとする。
 アフリカで最初のステージはリエゾンで10km移動し町を離れると、80kmの短めのSS。
ナビに細かいチェックが必要で、やたらにカーブが多く砂地で杉や樫などの山林の中
を抜けるコースだ。
 アクセルを全開せず、50%ぐらいにしてゆっくり走る。後からバイクが追い越して
いく。気にしない。途中で深い砂地と出会うと、ハンドルを取られてバランスを崩し
たりしたが転倒しなかった。スピードを落としバイクを止めて、他のライダーの走り
方を研究する。私は砂漠が課題だ!日本で経験できない砂漠だった。これから、砂漠
が多くなる、完走できるのかと思う。
 SSゴール後、たくさん汗をかく。それからリエゾン444kmと長い。日が暮れる前に
ビバークに到着した。右手首はネジが中に入っているため、痛くならないように祈る。
今日の成績表はビリに近かった。私は砂漠の走り方を知らないからだろう。これから
厳しくなりそうだ。
 今日は正月、レースに夢中なので忘れていた。思い出したのは夜食の時で、三橋さ
んから「明けましておめでとうございます」と挨拶されたからだ。
 今日の成績は総合151位、日本人で6位。


アフリカで最初のステージです。スピー
ドを50%ぐらいにして走る。